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vol.30 技術は受け継がれ、進歩していき、世界の眼鏡の礎に

掲載コラム(Wink)

「おしょりん」。田畑を覆う雪が固く凍った状態を指す福井県の一地域で使われていた言葉で、昨年秋に同名での映画が公開されました。福井に眼鏡産業を根付かせた兄弟の話です。公開中、映画は観そびれてしまったので、原作の方を読みました。
眼鏡フレームの事といえば、商品そのものやデザイナーの事をクローズアップしがちですが、その先にそれらを作製している職人がいて今ここにジャパンクオリティの眼鏡があるという事に目を向けてみたくなる話でした。
福井県の福井市、鯖江市で製作されている眼鏡フレームは、200〜250もの工程を経て世に出ています。使われているチタン一つをとっても、熱を加えて鍛造するとプレス一回でその形になるものを、錆や、冷めるときに収縮が起きてバラつきががでてしまうため、常温のまま何度もプレスして完成形に近づけていっています。工程の数だけ金型が必要であり、機械もその都度調整しなければなりません。そしてフレームは、パーツごとに違う工場で作られています。精度の高さを求められる眼鏡ですので、同じ工場で作ったほうが効率がいいんじゃないの?と思われるかもしれませんが明治時代からの分業制により、互いの工場で技術を競い合い、結果としてそれが産地全体での最高品質の眼鏡フレームを生み出しています。
福井県はコシヒカリ発祥の地でもあり、研究や開発に長けている地なのでしょうね。そんな1つの事を突き詰める気質とは裏腹な、こちらにはない福井の人の柔らかいイントネーションも、とても好きです。令和6年Wink3月号掲載

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